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KEZLEXがもっと普及して、若い医者が使える環境が整備されてほしい

齋藤 清 先生 福島県立医科大学副理事長 、日本間脳下垂体腫瘍学会理事長

プリンターを用いた医療用精密立体モデル「KEZLEX(ケズレックス)」。 CT/MRIなどの3次元データから人骨の内・外部を緻密を再現しています。 実際に「削れる」「クリップできる」 ことから、幅広いシーンで採用いただいています。 今回は、ケズレックスを採用いただいているお医者さまの声をお届けします。 福島県立医科大学脳神経外科の齋藤清教授にお話を伺いました。


齋藤 清

1982年より脳神経外科医師としてキャリアをはじめる。 2009年には福島県立医科大学脳神経外科教授に就任。 脳腫瘍および頭蓋底外科手術の第一人者として日本をリードしており、 2016年からは福島県立医科大学附属病院長(2019年からは福島県立医科大学副理事長) 2017年からは日本間脳下垂体腫瘍学会理事長に就任。



東北は、別世界に飛び込むようだった

私の専門分野は、脳神経外科で脳腫瘍です。特に、頭蓋底外科が専門。これまでのキャリアの大半は名古屋でした。 名古屋大学に入局して、途中3年間ほどはボストン留学でリサーチフェローを行い、それからまた名古屋大学に戻って。 そして、2009年1月から福島医大の教授を務めています。



—— 名古屋と福島で、患者さまの雰囲気も違うのでしょうか?

違いますね。東北の脳神経外科は厳しいんです。名古屋から東北に来るのは、別世界に飛び込むようなもの。 レベルも高く、当時は東北の大学教授も厳しい方が多かった。患者さまの雰囲気は、そんなに変わらないですね。 最初は、言葉が全然わからなかったですけど(笑)。 脳外科を目指す人は、たいていは神経に興味があって目指す人が多い。自分もそうなんですけど、自分にはもうひとつ理由があって。 なぜか、小学校の頃に好きだった先生が「お前は将来、脳外科医になれ」って言ったんですよ。 それが、今に繋がってるから不思議だよね。 この仕事に就いて、嫌になったことや他の道に進めばよかったと思ったことはないですね。想像以上に面白い分野だったから。 昔は、頭の中で想像するしかなかった


—— ケズレックスは、3Dプリンターによるリアルな造形が特徴です。初めて見た時の印象はいかがでしたか?

「あぁ、よくできてるなぁ」というのが、最初の印象でした。たしか、学会で初めて見たんですよね。 いろいろなタイプの模型が並んでいて血管の模型もあった。中でも、いちばん関心したのは側頭骨・錐体骨のモデル。 これはすごいな、と。そんな医療模型は、当時でも珍しかったんじゃないかな。 時代が変わっていますよね。昔はもちろん、3Dプリンターなんてなかったから、自分の頭の中で構築して絵に描いてみたりしてました。 今は、瞬時にコンピュータ上で見たり切ったりできますからね。 2次元よりも3次元、3Dプリンターで作ったものの方がいい。それよりも上を行くと、やっぱり解剖実習になる。亡くなったご遺体ですね。 昔は、ご遺体はあくまで学生の実習のためにご提供いただいていた。実際の手術の練習には許されなかったんです。 それに比べると、今はハードルは下がったとは思います。同意書があって、ご遺体を医者の手術の修練に使っていいという許諾を得る。 但し、大学などの方針によっても違うのが現実です。 若い先生たちにこそ、使う意味がある


—— ケズレックスは、どのようなシーンで使用するといいでしょうか?

使い道としては、手術のシミュレーションがいいと思う。特に、若い先生が手術のシミュレーションに使うのが、いちばんいいですね。 若い方でいうと、セミナーでの骨を削るトレーニングコースとかも最適ですね。私の周りには、患者さまにご説明する時に使う人もいますよ。 自分であれば、実際の患者さんの3Dデータを取って、よっぽど難しい手術の際に練習するとかに使いたい。特に削りたいのは、頭蓋底の側頭骨。 それは、すごくいい立体モデルがすでに完成していますよね。 トレーニングで使うのもすごくいいと思うんですよ。それは、みんな使うと思う。 例えば、頭蓋骨のモデルが医局に常に何個かあって、「明日の手術のためにちょっと削ってみたい」という状況にあるといい。 特に、頭蓋底の部分の手術は難しいので、みんな練習すると思うけどなぁ。


—— 使っていただいて、「もっとこうだったら」という改善点はありますか。

ある!(笑)立体的にはすごく上手にできているし、骨の中の細部構造もうまくできてる。 ただ、削った時の感覚が骨とはほんの少し違っていて、もっと改善すると嬉しいね。硬さがね、もうちょっと硬くても自分はいいと思う。 骨って、表面は硬いけど、中の方はそうでもない。体の部分でも違って、体重を支えるような骨は硬い。 それに比べると、脳の表面の骨はそれほど硬くないかもしれないね。 この前、福島で内視鏡のハンズオンにも使わせていただいて。その時に使用したのは、下垂体用モデル。あれは、すごくきちんとできていますね。 杉田フォーラムのハンズオンでも採用されて、実際に削ってみせるようになりましたよね。 欲を言えば、データを少し調整してもらって、トレーニングコースでの目的別・手術別を考えた「練習用の骨」に割り切っていただくともっと嬉しい。 そういうものがあると、「あなたは初心者だから、これを使いなさい」とか「あなたは、このモデルを使いなさい」と勧めやすい。 人によって、実習したい目的とか練習したいアプローチが違いますからね。



変化する医療の現場に、どれだけ応えられるか


—— 医療の現場の変化と照らし合わせると、ケズレックスにはどんな可能性があるでしょうか?

今の頭蓋底手術は、内視鏡手術の時代になってきています。練習はご遺体でやらせてもらうんですけど、それは解剖実習室でしかできない。 当然、セミナーや学校会場ではできないのでケズレックスを使うんです。その需要がとても高いよね。 それとは別に、経鼻下垂体手術のトレーニングは、現状では遺体でないとみんな満足しない。 日本間脳下垂体腫瘍学会には、必ず経鼻内視鏡手術のコースがあるんですけど、ご遺体を使用するコースしか残ってないんですよ。 でも、ご遺体を使うのは大変なので、今後コースをどうやって維持するかという話をしている最中です。 それに使えるケズレックスのモデルがあれば、すごくいいと思う。 私は、教授になった時に、新しい夢ができたんです。それは、若者をしっかりと育てること。 2019年も研修医が2人入りましたが足りないですね。福島県は全体的に医者の数が足りないと思う。医者の数は全国平均でも下のほうですもんね。 5年か10年か、このまま医者の高齢化が進んで、一斉に定年を迎えると脳外科医が減ってしまうことを心配しています。 ケズレックスがもっと普及して、若い医者が使える環境が整備されてほしい。それが、技術の底上げに繋がりますからね。



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